パイオニア2015
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232015ChemicalEngineering高校のころから化学が好きだった山本卓也さんは、大学で化学を学ぶうえで、1つひっかかっていた。「化学を学べる学部と言えば工学部や理学部がありますが、それぞれ『ものづくり』『基礎研究』というイメージがあります。両方やってみたいと思っていたところ、『科学と技術の融合』をテーマとする基礎工学部を知ったのです」。 そして入学してしばらくし、「化学工学」という分野を知る。それまで化学と言えば「合成」のイメージしか持っていなかったが、反応のシミュレーションやプラントの設計など、ものづくりの過程全体を考える「化学工学」を知ったのだ。「製品やサービスになるまでを手掛けるということで、一般消費者に直接役立てる点が魅力です」。ボート部主将が流体研究に驚き 3年次では「移動現象論」という科目で、流体のシミュレーションに出会う。実は山本さんは学部時代に大阪大学ボート部のキャプテンを務めていた。水という流体に体で向き合ってきた身として並々ならぬ興味を持つ。「感覚でつかんでいたものを理論的にとらえられるなんて」。現在の岡野研究室を志望するきっかけとなった。 同時に、週4回の実験、ほぼ毎週のレポート提出に加え、週6回朝夕のボート部練習と、相当にハードな日々を送った。「このバイタリティーに加え、自分の考えと言葉で一生懸命話してくれるのが山本君のいいところですね」と指導教員の岡野泰則教授は言う。化学は「ものづくり」の基本 山本さんは現在、宇宙空間でのマランゴニ対流をシミュレーションする研究をしている。マランゴニ対流は、流体における表面張力の差で生まれる、地球上では取り出しにくい現象だ。試験管やフラスコを用いた「化学らしい」実験はあまりしないが、その意外性が、今は面白みに変わっている。 岡野教授も化学工学の魅力を教えてくれた。「化学は材料開発やものづくりなどの基本。ものづくりに必ず役立ちます。このコースは『つくる、使う、捨てる、リサイクルしてまたつくる』というサイクルの全体を考えるところ。分子レベルからマクロまでの対象を扱える『マルチスケール人間』を育てます」。岡野泰則(おかの・やすのり)教授[左]基礎工学部・化学応用科学科・化学工学コース教授山本卓也(やまもと・たくや)さん[右]化学工学コース出身/基礎工学研究科・物質創成専攻・化学工学領域・博士後期課程1年①電子顕微鏡で試料を詳しく調べる②マランゴニ対流のシミュレーション結果を表示する③山本さんは普段はコンピュータに向かうことが多いが、実験器具を扱うこともある出身者が語る◎化学工学コースDepartment of Chemical Science and Engineering

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