パイオニア2015
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372015MathematicalScience①情報量規準について示す研究室の学生②研究内容についてメンバーの前で説明するのは、下平研究室では日常茶飯事③下平研究室で開発した「マルチスケール・ブートストラップ法」は、統計学のベイズ派と頻度論派を結び付けて、データのランダムネスを精確に計算できるようにした出身者が語る◎数理科学コース Department of Information and Computer Sciences工業高等専門学校の電子制御工学科から3年次編入した福井一輝さんは、「編入するならば数学に強い学部が良かった」と振り返る。 高専で画像情報処理の勉強をしているなかで、人間の学習能力をコンピュータで実現する機械学習に興味を持った。そこでももちろん数学は使ったが、「道具としてしか認識していなくて、もっと勉強したかった」と福井さんは言う。研究室にとって初のテーマを選ぶ 「基礎工学部に入って、数学の背景、厳密なものの見方を学びました。おかげで研究をするに当たり、『なぜその数学を使うのか』が分かるようになりました」。数学も基礎工学部の強みだと、福井さんは読み取っていた。 4年次には現在も修士課程1年として在籍している下平研究室に配属された。下平研究室は統計科学、機械学習、バイオインフォマティクスの研究を行っている。 その下平研究室で、福井さんは卒業研究として「画像マッチング」という、同研究室にとっては初めてのテーマを選んだ。画像マッチングとは、ある画像に対して類似している画像を探し出す技術のことだ。この研究で福井さんは、非正解(似ていない)画像を集める方法を改善した。医学やSNSにも役立つ数理科学 下平教授はそんな福井さんの良いところをこう語る。 「高専で手を動かして勉強してきたからでしょう、応用研究に対するモチベーションが高い。本人は『まだまだ』と謙遜していますが、数学のレベルも上がり続けています。そしてこれが最も大事ですが、良い意味で頑固で、オリジナリティーを大事にしていますし、それを支えるメンタルの強さもある。これは研究者になるために非常に重要な能力です」 下平教授は数理科学の面白さも教えてくれた。 「バイオインフォマティクスではゲノムデータなどの分析を行い、生物学や医学に貢献しています。さらに、近年注目されている複雑ネットワークの理論は、生命科学だけでなくウェブやソーシャルネットワークなど皆さんにとって身近なサービスに役立っています。数学を使って社会に貢献したいと思っている人にとって最適なのではないでしょうか」下平英寿(しもだいら・ひでとし)教授[左]基礎工学部・情報科学科・数理科学コース教授福井一輝(ふくい・かずき)さん[右]数理科学コース出身/ 基礎工学研究科・システム創成専攻・数理科学領域・博士前期課程2年

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