パイオニア2015
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392015392015基礎工学部と関連の深い教育・研究施設太陽エネルギー化学研究センターResearch Center for Solar Energy Chemistry 2001年に大阪大学の学内共同教育研究施設として設立された「太陽エネルギー化学研究センター」は、太陽エネルギーの化学的な利用を目的とした、世界でも唯一の研究機関です。同センターには、「太陽エネルギー変換」と「環境光工学」の2つの研究分野があります。 前者は、光が持つエネルギーの化学エネルギーへの変換、および、化学的な太陽電池によって新しい太陽エネルギーの利用法の研究を行っています。後者は、光と物質の相互作用で起きる機能に注目し、新しい光機能性材料・デバイスを研究して、将来的に環境問題の解決に貢献する光化学反応システムの開発をめざしています。 将来的には、「太陽エネルギー」をより大きな枠組みでとらえ、環境学や社会学などもかかわれるような体制を整えることも可能になるでしょう。通信、記録、計測、情報処理と、光の活用領域はどんどん広がり、今や人びとの暮らしに「光」は欠かせない。 太陽エネルギー化学研究センターの白石康浩准教授は、光によって物質の反応活性点(分子が吸着して反応する触媒上の場所)の構造を変化させ、特定の反応だけをするような新しい材料を作り出そうとしている。太陽の可視光で反応を起こさせる光触媒なら、自然のエネルギーを有効活用することになる。常温のまま反応させられるので、安全性が高まり、施設などのコストが低く済むことが期待されている。 問題は、反応を起こさせたとしても、できあがった素材が光に反応して、また別の分子構造に変化してしまうこと。反応させること以上に、反応を止めることが難しい。たとえ新しい触媒が完成して方法論が確立したとしても、その方法論を実現するための光反応装置やプラントの開発は進んでいない。白石准教授は「難しいからこそやりたい」と意気込む。 「光触媒には、人類の生活を抜本的に変える可能性があります。この研究には人生をかける価値があるのです。ただし、化学だからといって試験管の中のことしか見られないのではダメ。プラントでのプロセスまで見ることのできる、エンジニアリングの発想が欠かせません」 太陽エネルギーを使った反応に関しては、やっと研究の糸口が見えてきたところで、ゴールはまだまだ遠い。白石准教授の研究は、その貴重な第一歩を踏み出したところだ。チタノシリケートを用いた光合成細孔を使って、有害な分子を無害にし、工業的に有用なフェノール類の分子に変える今ここにある「光」で新しい反応を起こす研究者紹介白石 康浩(しらいし・やすひろ)大阪大学准教授(太陽エネルギー化学研究センター環境光工学研究分野)

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