2014基礎工学部要覧_和文
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2正田建次郎初代学部長による学部創設の理念(基礎工学部玄関ホールに掲げられた銘板) 基礎科学の新しい発見や発展が、技術や工学に新たな領域を生み出し産業を興します。たとえば、コンピュータの高速化は半導体物性の基礎研究に深く根ざしており、話題を集めているリニアモーターカーは超伝導の理論と実験の発展に支えられています。また逆に、技術や工学の進歩が基礎科学の発展の原動力となります。たとえば、電子線を用いて原子を見る電子顕微鏡や強力な磁場を用いて分子を見る核磁気共鳴装置(NMR)のように、技術の粋を集めた最新の設備により、いままで見えなかったものが観測できたり見えなかったところまで解析できるようになります。 このように、工学・技術と理学・基礎科学は、一方の発展が他方の発展を促し、お互いに影響しあって進展しています。従って、工学・理学の分野では、基礎科学の素養を十分に積み、新しい技術開発にも積極的に参加できるような柔軟性と創造性を持つ科学技術者が求められており、科学技術の急速な発展とともに、その要請はますます強くなっています。 大阪大学の元総長であり、また初代の基礎工学部長を務められた正田建次郎博士は、昭和36年の基礎工学部創設にあたって、基礎工学部のめざすところを、であるとしました。当時は日本の高度成長がはじまる頃であり、どちらかと言えば、技術だけが重視されていました。したがって、当時にしては非常に先進的な考え方でした。しかし、基礎工学部は創設されてから50年が経ちますが、この理念は21世紀になってますます重要視されています。 基礎工学部は創設当初から、このような指導的科学者・技術者を養成して、科学と技術の融合を図ることを大目標に掲げています。したがって、基礎工学部では、真理を追及する自然科学と生活を豊かにする技術とをバランスよく学び、科学者でかつ技術者たる両方の資質を身に付けてもらうよう教育を行います。大学院基礎工学研究科/基礎工学部の特色基礎工学部創設の理念「科学と技術の融合による科学技術の根本的な開発 それにより人類の真の文化を創造する学部」  世界を先導する我が国独自の創造的基礎研究や先端技術の開発には、従来の学問領域の研究の一層の深化とともに、既存の学問領域の枠を越えた異分野間の交流による研究の複合化・統合化を図る複合学際的アプローチが不可欠です。 基礎工学研究科は、その基礎となる学部である基礎工学部が昭和36年に発足した後、昭和39年に数理系、物理系、化学系の3専攻により創設され、さらに平成8、9年度に大学院重点化の改組が実施されて物理系、化学系、システム人間系、情報数理系の4専攻に再編されました。基礎工学部及び基礎工学研究科創設の理念は「科学と技術の融合による科学技術の根本的な開発」であり、その基本理念に基づいて、数学、物理学、化学、生物学などの基礎科学と先端技術の両者を包括する教育・研究環境を整えることにより、科学と技術をつなぐ分野を研究対象とする全国唯一の学部・研究科として教育研究を展開してきました。その結果、多くの研究成果をあげるとともに、理学と工学双方の視点を備えた研究者、技術者を多数育成し、学界、産業界に貢献してきました。また、平成14年度には、情報数理系専攻とシステム人間系専攻の一部がそれぞれ新しく創設された情報科学研究科、生命機能研究科へ移り、新たな教育研究分野の中核を占めています。 このような流れの中で、平成15年度に、基礎工学研究科の21世紀における新たな発展をめざすための改組が行われました。この基礎工学研究科の改組では、その教育研究領域を、従来取り組んできた理学と工学の学際領域だけでなく、人文社会系までをも含めたより幅広い学際領域に拡張することにより、大阪大学全体を更に活性化して新しい科学技術や新学問領域を創り出すことをめざしています。具体的には、研究科を「物理と化学の融合を特徴とする物質創成専攻」、「機械科学と生物工学との融合を特徴とする機能創成専攻」、「ハードウェアからアルゴリズムまでを一体化し文理融合も視野に入れることを特徴とするシステム創成専攻」の3専攻に再編し、基盤専門教育と専攻横断的な学際専門教育を組み合わせた新たなカリキュラムの導入を行いました。このような教育研究組織を構築することにより、基礎科学に根ざした先端学際領域の研究を行うとともに、新しい科学・技術を開拓することができる専門性と学際性に富み、国際感覚をあわせもつ人材の育成をめざしています。基礎工学研究科の改組とさらなる発展

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