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2016/03/23

2016-03-23 プレスリリースのお知らせ「高温超伝導機構の解明につながる硫黄水素化物を発見」(石河特任助教、清水教授)

 大阪大学大学院基礎工学研究科附属極限科学センターの石河孝洋特任助教、清水克哉教授、金沢大学理工研究域数物科学系の小田竜樹教授、関西大学システム理工学部の鈴木直教授らの研究グループは、第一原理電子状態計算と遺伝的アルゴリズムを用いたコンピュータ・シミュレーションによって、110万気圧で出現する硫黄水素化物の新たな超伝導相を予測しました。
 超伝導とはある温度まで物質を冷却すると電気抵抗がゼロになる現象であり、例えば電線に超伝導体を使用すれば損失なしに電気を運ぶことができるため、環境問題やエネルギー問題を解決する重要な物理現象として注目されています。しかし、超伝導が発現する温度(超伝導転移温度)は非常に低いために実用化が難しいとされています。硫化水素(H2S)が高圧力下で超伝導転移温度の最高記録を大幅に更新したことが昨年に発見され、話題になりましたが、この超伝導体に変化していく過程の硫黄と水素の化学組成比や結晶構造について不明な点が数多く残されていました。本研究で予測した化学組成比2:5の化合物(H5S2)で得られた超伝導転移温度の計算値は、その過程の実験値と良く一致しました。
 本研究で予測したH5S2化合物に立脚して実験・理論の両面から更なる研究を進めれば、硫黄水素化物で出現する高温超伝導の機構解明へと繋がることが期待されます。また、使用した手法と得られた知見を他の軽元素水素化物に応用させることによって、超伝導転移温度を室温付近まで上昇させるための指針を与えることが可能となります。


本研究成果は3月17日に英国ネイチャーグループの電子ジャーナルScientific Reports誌に掲載されました。


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