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2016/05/09

2016-05-09 プレスリリースのお知らせ「世界初!-70℃の高温超伝導体の結晶構造を解明」(榮永特任助教)

 基礎工学研究科附属極限科学センターの榮永茉利特任助教、坂田雅文特任講師、石河孝洋特任助教、清水克哉教授、Max Planck化学研究所のMikhail Eremets博士、高輝度光科学研究センターの大石泰生副主席研究員の研究グループは、大型放射光施設SPring-8において、ダイヤモンドアンビルセルを用いた超高圧・低温下での電気抵抗測定と高強度の放射光マイクロX線回折実験を組み合わせた複合実験によって、150万気圧で出現する硫化水素の203 K(マイナス70℃)を超える高温超伝導相の結晶構造を明らかにしました。

 超伝導とは、ある温度まで物質を冷却すると電気抵抗がゼロになる現象です。例えば、送電線に超伝導体を使用すればエネルギー損失なしに電気を運ぶことができ、エネルギー問題解決が期待されます。他にも、医療用MRI装置等ですでに実用化されている、極めて重要な物理現象です。しかし、物質が超伝導体となる温度(超伝導転移温度)は非常に低く、冷却に高いコストがかかるため実用化や普及を妨げています。

 昨年、これまでの超伝導転移温度の最高記録を大幅に更新する高圧力下の硫化水素が発見され大変な注目を集めていますが、その超伝導の発現機構の解明に重要な情報である結晶構造については不明でした。本研究では高圧力下で電気抵抗とX線回折の同時測定を行い、世界で初めて硫化水素の高温超伝導相の結晶構造を明らかにしました。

 本研究成果は、硫化水素で発現した高い超伝導転移温度の発現機構の解明へ繋がるだけでなく、実用可能な室温超伝導体の開発へ大いに貢献するものです。

 本研究成果は5月9日(月)16時(英国時間)に、英国科学誌「Nature Physics」のオンライン版に掲載されました。


ResOU「世界初!-70℃の高温超伝導体の結晶構造を解明」


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