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2016/12/01

0.1mm以下の微小な欠陥を検出する非接触電磁超音波センサ

教授・平尾雅彦、准教授・荻博次、助教・中村暢伴

 原子力発電所や化学プラントでは耐腐食性に優れていることからステンレス鋼が配管などで使われています。ところが、長期にわたって運用していると配管内面の溶接部近傍に応力腐食割れと呼ばれる割れが発生することがあります。このような割れは配管の破断等の深刻な事故につながる恐れがあるため、微小な割れをできるだけ早期に発見する技術が必要になります。 

 割れの検査にはしばしば超音波が使われます。配管の外側から内側に向けて超音波を入射すると、内面の割れで超音波が散乱・反射されるので、反射・散乱した超音波を測定して割れの有無や大きさを推定します。この検査では一般に圧電体を使った超音波センサが利用されます。振動するセンサを接触媒質を介して配管に押し付けて超音波を伝えますが、押し付け強さなど検査員の技量によって結果が変わることがありました。この問題を解決するべく、我々の研究室では点集束型の電磁超音波センサを開発しました。これは電磁気的な作用を利用して試験体の表面を振動させる非接触のセンサであり、試験体への押し付け方に影響を受けません。また、超音波は材料中を広がりながら伝ぱするため、伝ぱ距離が長くなるほど音圧が小さくなりますが、開発したセンサでは複数の音源から超音波を発生させ、それを材料内部の一点(焦点)で収束させることで音圧の低下を防いでいます。さらに点集束の効果で焦点付近での空間分解能が高められています。結果として、割れの検査をしたことがない人であっても再現性良く割れの検査ができるようになり、深さが0.05mmの人工欠陥も有意に検出することに成功しました。このように、非破壊検査の分野に貢献する超音波センサの開発に取り組んでいます。


平尾研究室