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基礎工学部シグマ講演会を開催しました。(東京工業大学教授・西森秀稔先生)

2018-05-11

 

5月11日(金)基礎工学部国際棟において、基礎工学部シグマ講演会を開催しました。

 シグマ講演会は理工学分野でご活躍の大学内外の著名な先生方をお招きして専門分野に限らず幅広い話題についてご講演いただき、学部内外の研究者並びに学生の教養と国際的活動能力を涵養するための行事であり、基礎工学部が開催する「最も格の高い学術的講演会」と位置づけられています。

 39回目の開催となる今回は、東京工業大学教授・西森秀稔(にしもり ひでとし)先生を講師としてお招きし、『量子アニーリングの現状と展望』と題して、D-waveによる量子アニーリングの実装から始まり、googleやNASAでの活用や量子アニーリング開発の歴史的経緯について紹介いただきました。量子コンピュータには量子ゲート方式と量子アニーリング方式による実装があり、量子ゲート方式はノイズに弱くノイズ耐性を確保する必要があること、現在実装されている量子ゲート方式は数十量子ビット程度に対して、西森先生が提唱された量子アニーリングの最新の実装は組合せ最適化問題に限定し、2千量子ビットまで適用可能であること、通常のコンピュータとの組み合わせによる量子古典のハイブリッドタイプの実問題への応用が盛んに行われていることなどが紹介されました。一方で、量子アニーリングの適用にはさまざまなテストを必要とし、組合せ最適化問題を量子ビット間の相互作用として問題のイジングモデルへマッピングすること、量子相転移により、局所解にトラップされる可能性があり、それを回避するための最新研究についても紹介いただきました。

 講演では理論研究が応用研究にすぐに直結することの事例や世界的な光・量子技術研究に対する大規模投資、D-waveチップの量子シミュレーションとしての活用などの最新の話題に多くの参加者が熱心に耳を傾け、講演後には活発な質疑が行われました。

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西森秀稔東京工業大学教授